土曜日の午後。柿生地区会館におもちゃを抱えた人たちがやって来る。心配そうな表情。だが「大丈夫、直りますよ」の言葉に顔がほころぶ。ボランティアで壊れたおもちゃを修理する「柿生おもちゃ病院」の診療風景だ。 「何か社会に貢献できることを」と考えていた院長(代表)の堀忠男さんが「日本おもちゃ病院協会」(本部・東京)を知ったのがはじまり。協会の講習を受け、おもちゃドクターとして、友人の上条正雄さんと2017年に活動をはじめた。 翌18年からは月2回の開院。1回で少なくとも5件程度、多いときには15件もの修理依頼がある。評判を聞いて遠方から足を運ぶ人も。熟年世代のスタッフも9人に増えた。 「どんな状態でも、できる限り直す」のが信条。時間がかかる場合は預かり、分解して調べる。たとえば動くぬいぐるみなら、糸をすべてほどいて内部の故障を修理し、また丁寧に縫い直す。 修理は無料で、特別な部品が必要な場合のみ、実費を受け取るだけ。持ち込まれたものはほとんど直してきている。 「お子さんやお母さんに喜んで帰っていただくのが何ともいえません」と堀さん。上条さんは「達成感がすごくあります」。 年配の人も思い出の詰まった品を抱えてやって来る。おもちゃだけでなく、大事な思い出もよみがえらせてくれる活動だ。 |
修理に励むスタッフ。前列左が代表の堀さん |
2019-04-15 | |
柿生おもちゃ病院 |
取材・文 佐藤次郎 |