2020年10月4日、麻生市民館ホールで開催された「音の輪 発表会」。第3部のトップバッターは「AYAケンハモスクール」のメンバー。 そろいの楽器を颯爽と抱え、吹きはじめた曲はベートーベンの交響曲第9番第4楽章。お馴染み「喜びの歌」のフレーズを、二部合奏で見事に演奏した。 彼らが、このステージに向けて合同練習をしたのは、たったの2回。さらに全員で音合わせをしたのは本番当日だけだったという。驚くべき舞台度胸と集中力だ。 指導しているのは日比野綾子さん。幼稚園教諭時代に鍵盤ハーモニカと出会い、こどもたちを指導するうちに、鍵盤ハーモニカの素晴らしさや楽しさを知ったという。 その後、主催の「日比野音楽教室」で、ピアノ、エレクトーンを指導。 ヤマハ音楽教室から、大人の鍵盤ハーモニカのクラスを打診されたことがきっかけで、ヤマハや自宅教室で、鍵盤ハーモニカも指導するようになった。 「以前から、鍵盤ハーモニカは、高齢者に良いと思っていました。母が誤嚥というのですか、しょっちゅう喉を詰まらせていたので、勧めてみたんです。演奏するときはしっかり腹式呼吸をするし、喉の筋肉も使う。吹くことで口まわりの筋肉も鍛えられる。目で鍵盤を見て、耳で音を聞いて、指を動かし、脳も使います。高齢者の方が遊び感覚ではじめたらすごく楽しいんじゃないか思いました」。 2020年5月、国立市の生涯学習講座を準備をしていたが、コロナ禍で中止。気軽に来られる場所でレッスンができないかと思っていたところ、行きつけのカフェの店長さんが場所を提供してくれた。「国立のチラシに載っていた私の名前を検索して、ここに来てくださったかたもいらっしゃいます。現在のメンバーはこのカフェのお客さんが多いです」とのこと。 楽譜が読めない人にも解りやすいよう、指と鍵盤を数字に置き換えて指導。初心者でも簡単に演奏できる独特のメソッド(指導方法)を採用している。 日比野さんは講師のほか、音楽会の企画や、コーディネーターとしても活動されている。近年は少子化で、ピアノ教室も生徒が減少。会場費や、スタッフの人件費など金銭的負担が大きいため発表会を断念した講師同士をつなぎ、合同発表会も企画してきた。 冒頭で紹介した「音の輪 発表会」も大勢の応募があったが、コロナ感染拡大の影響で、出演者のキャンセルが相次いだ。鍵盤ハーモニカの練習場から会場の新百合ヶ丘は近かったので、メンバーに「出ちゃおうか?」と声をかけてみたところ、「出ます!」ということで出演が決まった。 体験レッスンは無料。衛生上息を吹き込むホースは各自購入が必要だが、楽器は無料でレンタルできる。こどもが使っていたものでもまったく問題ないそうだ。 |
麻生市民館ホールで行った発表会 2020年秋から、気軽にはじめられる『おしゃれなカフェで、鍵盤ハーモニカ教室』を展開 日比野さんは幼稚園教諭の音楽指導や、小学校での鍵盤ハーモニカ指導にも携わっている |
2020-12-01 | |
AYAケンハモスクール mail kenhamo@jcom.zaq.ne.jp |
取材・文 佐々木直子 |