かつての新百合バスターミナル周辺には落書きとハトの糞が氾濫していた。この惨状を目の当たりにした新百合ヶ丘駅周辺景観形成協議会と麻生まちづくり市民の会は2005年「あさお落書き消し隊」(以下隊という)を結成。 隊は先行する下北沢の落書き防止対策実行委員会の指導を受け、商店街など地域を巻き込んで落書き消しを展開し、駅周辺の落書きはあらかたなくなった。 そこで、隊はこの活動を区内全域に広めたいと考え、2007年、経験豊かな隊員を講師として地域に派遣するシステム「出前落書き消し」をスタートさせた。 新百合ヶ丘駅の住宅街のど真ん中、白い塀に黒ペンキでかかれた仏頂面[ビフォー]が。参加したご近所のお母さんは「子どもがこの絵に怯えるので、まわり道をしている」と迷惑していると。作業はマスクとゴム手袋をつけ、スプレーによる溶剤の噴き付けからはじまる。20秒もするとどす黒い液体が滴り落ちる。ウエス(ぼろ切れ)で素早く拭い取る。ポイントは下地の塗料、乾燥した後の色調変化の見極め。塗装はムラが出ないよう全面に軽く刷毛を運ぶ。80分ほどで作業は終了。 依頼主は見事に復元した白塀[アフター]に大満足の様子、幾度となくスタッフに頭を下げていた。 参加者からはこれを契機に落書き消しを町会活動の一つとして定着させたいとの頼もしい声も聞こえてきた。 新百合ヶ丘駅周辺の落書きへの緊急対応をしているほか、川崎駅周辺へのお手伝いも行っている。 白井隊長は「隊は準備万端整えて出前要請を待っています。落書きを見かけたらぜひご一報をください」と意欲満々である。 |
区内の美化と犯罪防止を目指し、安全で安心なまちづくりの一翼を担う隊員の皆さん 麻生警察署も協力。コンクリートの壁はペンキで 駅前ロータリーにあるベンチの落書きも 完全には消えませんが 平成30年11月10日に、柿生駅周辺で一斉落書き消しを実施 |
[取材後記へ] | |
2019-04-15 | |
あさお落書き消し隊 隊 長:白井 勇(しらいおさむ) 連絡先:吉田謙司(よしだけんじ)Tel.090-4923-0002 設 立:2005年8月 会 員:12名(男性9名・女性3名) 会 費:なし 費 用:個人負担なし 活動日:不定期 活動場所:新百合ヶ丘駅周辺を中心に麻生区内全域 |
取材・文 植木昌昭 |