川崎市最北端の麻生区は、美しい丘陵地が連なる地域だ。しかし高齢者にはこの高低差が外出の妨げとなり、体力の低下、認知症へと繋がってしまう。特別養護老人ホーム「かないばら苑」の苑長だった依田明子さんはこの問題を憂慮して、昼間空いている同苑の車輌をを使って『地域の集いの場』へ高齢者を送り届けられないかと有志で勉強会を重ねた。その中で最後まで悩んだのが運転スタッフのありかた。悩むみんなに、中心だった奥山潔さん、安井良衛さんたちは「まず実践しながら前進しようよ!」と無償送迎に特化した『あさお運転ボランティア・CAP』を立ち上げた。 運転は人命にかかわること。安全には細心の注意を払う。どんな場面にも対処できるよう常に2人体制で臨み、利用者一人ひとりへの心配りを忘れない。だから車内はいつも優しい雰囲気で一杯だ。 市民発の試みに、全国から問い合わせがあった。施設の空き車輌を活用するという発想、ボランティアたちの積極的な取り組みなどが高く評価されたためだと思われる。 人生100年と謳われる今、「高齢者の足の確保」は喫緊の課題だ。「みんなの笑顔が頑張りの源。頼りにされている責任感が健康維持の秘訣」と屈託なく話すボランティアたちの表情に、明るい未来を期待させる清々しい取材となった。 |
送迎風景。一人ひとりに合わせた丁寧な対応をモットーとしている |
2022-10-01 | |
あさお運転ボランティア・CAP 代 表:奥山潔 メンバー:11名 参加資格:月1回以上(日中)の活動 問合せ:依田明子(かないばら苑内)044-986-1560 |
取材・文 名越耀子 |