琴平神社の宮司である志村家は、江戸時代を通じて王禅寺村の名主を務め、その時代の古文書2000冊、古地図、絵馬などを所蔵し、書の量は川崎市一である。 戦国期、新百合ケ丘近辺は麻生郷と称したが、家康の関東入国ののち、近くの古刹にちなんで王禅寺村と名のって独立。村は二代将軍秀忠の正室お江(おごう)の化粧料地となったため、幕府との関係が深かった。 代々の名主が記録し、現在まで保存に努めた古文書は、3冊の目録に整理され、倉の書庫に保管されている。幕府との産物のやりとりや、幕府への上納松をめぐる近隣の争いごとの記録からは、当時の村の生活がしのばれる。絵馬には義経と弁慶や天狗などがあり、興味をひく。また、玉川の水あらそいを調停し、分水の様子を描いた古地図は学術的にも貴重な資料である。 古文書は、まとまった人数で調整すれば参観可能。伝、渡辺崋山作の復元された天井画とともに、ぜひ見学を。 |
貴重な古文書の一例 (左):田畑名寄帳:江戸、文化年間の土地台帳 (中):国境御裁件写: 石川村と王禅寺村の訴訟控 (右):御用留:江戸、元文年間の幕府命令の写し 義経と弁慶の絵馬 ほかに人気力士や花鳥図など多数展示 絵馬:神馬の奉納に代え、馬の絵を納めたのがはじまり 玉川二ケ領用水の古地図(部分) 中央が溝口村、茶:道、緑:水路 第三者として依頼を受け、水の配分を調整し記録した |
2016-06-01 | |
琴平神社(古文書) 連絡先:Tel.044-988-0045(琴平神社社務所) 所在地:麻生区王禅寺東5-46-15 駐車場:70台 アクセス:東急バス、柿生駅前バス停2番、 たまプラーザ駅行、すすき野団地行で「琴平下」下車 URL:http://www.kotohirajinja.com/ |
取材・文 中島久幸 |