尻手黒川通りの吹込交差点。聖マリアンナ行きや田園調布学園行きのバス通り、変則5差路でミアクッチーナというスーパーの向かいに花壇はある。記事にあるとおりかなりの広さである。 これだけの広さを管理することの大変さは容易に想像できる。苗を購入する資金だけでも相当な金額になろう。1,100株と、すこし誇らしげに代表は語る。年に2回、ごっそりと植え替えリニューアルする。素人考えだとあれやこれやと取り揃え、なんだか雑然とにぎやかな花壇になりそうなところ、ストイックなまでに整然と秩序をなす仕上がり。まるで造園のプロの手にかかったようである。 取材後、定例の作業に参加してみた。改めての感想をいくつかのキーワードでご紹介しよう。 <資金の工夫> 四季を花で飾るには宿根草に頼ることが難しい。ために年2回の入れ替えで花を絶やさないように大量の苗を使う。大半を公園緑地協会の支援プランを利用し、得ている。協会の支援プラン趣旨に合致したお手本ともいえる活動組織ということだろう。 植え替えをしつつもこぼれ種と称する前年の草花から実生で芽生えたものを鉢に植え替え(鉢上げ)苗に育て上げる。また、花期を終えた球根も空き地で育て、ボランティアメンバーやイベント参加者に配ったりもする。 宿根草をうまく配置して緑地帯を作る。花期にはもちろん花を咲かせるが、一年をとおして緑地をキープするので配置によって広いエリアをカバーする。苗の節約にもなる。 <ボランティアの楽しみ> とにかく花が好きな方々が集まっている。作業は大変であるが、軽口をたたきながら愉快に作業される方もいて飽きない。メンバーにはほかのいろいろな活動に参加したり、主宰されたりの活発な方々がいて話題には事欠かない。 木こりの会、生きごみの会、フリーマーケットや段ボールコンポスト、森林ボランティア、何とかフォーラムetc。こういった活動のノウハウの集大成がクローバの会に活かされているという感じだ。 植栽帯にはハーブコーナーがある。取材時にはレモンバームが寒さから守るために藁で保護されていた。(写真)シーズンになれば作業後ハーブティーを楽しまれるのだろう。また、野草コーナーもありヤマユリやホタルブクロなどかつてはこの地に見られた草花が集められている。 作業後には近くのミアクッチーナ集会室での茶話会に招かれた。持ち寄った手作り茶菓をいただきながら談話が続く。記者には手作りケーキ、はちみつ入りミルクティーいずれもアイディアの詰まったおいしさで新鮮な驚きであった。核家族化して近所づきあいや親から子への受け継ぎなどが難しくなっている時代にこのグループでは失われた伝承の機会が期待できるのではないかと感じてしまう。 <ノウハウ> 宿根草で緑地帯を作り作付け面積をセーブしたり、コンビニと提携しコーヒーの廃棄出がらしを植栽帯の通路に敷きつめ雑草を抑制するなど考慮されている。本説のサギゴケの利用などもそれであろう。こうした細かいノウハウは緑地協会等の教室で得られるということであるが、とかくノウハウは教えられてから会得するまでに時間がかかるものだ。植物などは結果が出るまでに時間がかかるだけにことさらだ。 ここには貴重なノウハウが詰まっている。しかるにノウハウは目に見えにくいものなのだ。会に参加することできっと具体的に学べることうけあいだ。 <エコの意識> この会が高く評価されるのはエコの意識の高さであろう。エコについては実践して初めて価値のあることとなる。「生きごみの会」では家庭の生ごみを密閉容器で堆肥化し有機農法に。ダンボール箱を使った段ボールコンポストも実践している。コンビニの廃棄コーヒーもそのながれだ。炭酸ガスの循環についての知識や意識が高い。 <最後に> エネルギー循環を配慮したこの会が40代から80代までの広い層のボランティアで数々の賞を得られるまで発展してきた秘訣をかいま見てきた。この活動が次世代まで伝承できるように、子どもたちとのかかわりを持つことが望まれている。親の背を見て子は育つもの。子連れのボランティアさんの参加を願いたい。 |
デッキ。なんと水栓が設備されている。 無口な人、おしゃべりな人・・・ こぼれ種の鉢上げ レモンバームの冬籠り。ハーブコーナー。 手作りケーキでご苦労さん! |
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2016-04-01 | |
吹込クローバーの会 代 表:阿部 貴紅子(あべ きくこ) 連絡先:TEL&FAX 044-987-5336 abekey@jcom.home.ne.jp 設 立:2011年4月 会 員:15名 入会金:なし 会 費:500円/年 活動日:第二金曜日10時から12時、第三土曜日14時から16時ほか 活動場所:尻手黒川道路吹込交差点付近花壇と植栽帯 |
取材・文 景山茂 |