本文へスキップ

区民の視点で情報発信

あさおふれんずasao friends

団塊世代の「自分語り」 次世代に引き継ぐバトン

田園調布学園大学 和(かのう)研究室


 定年退職をした男性たち、2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、リタイア後の社会的孤立、メンタルヘルス、孤独死などの問題の深刻化が危惧されている。定年退職後にいかに新しい社会的役割やつながりを創成するか、田園調布学園大学人間福祉学部の和(かのう)秀俊准教授の2年がかりの研究がスタートした。

 新百合ヶ丘地域在住の高齢者の実情を探るべく2021年度は、積極的に地域で活動しているひと、地域活動にデビューしようとしている人、地域に居場所がない人、3層に分けて「自分語り」のインタビューを行い撮影する。2022年度は撮影した映像をもとにワークショップで意見を交わしながら「男性退職者の生き方や思いなど」のエッセンスをまとめていく。

 記事を書くにあたり団塊世代の端くれである記者はこの研究の一対象者として「自分語り」のインタビューを受けてきた。地域にあるとはいえ大学構内に入ることは初めてだ。研究室は吹き抜け構造の明るくモダンな建物の4階にある。入口にはマウンテンバイク、和准教授と今回の研究のキーとなる映像クリエーターの大石洋一氏が待ち受ける。

 准教授の絶妙なリードのもと、自分の人生を話す。語るうちに、自分の意識が変わっていく気がした。こうして撮られていく、3層の「自分語り」動画は2022年に共同編集する。そのワークショップに参加するだけでも啓発されるだろう。

 そして完成する動画。共有や視聴により、様々な人たちの生き方を伝え、次世代の人たちに定年退職後のビジョンや機会を与えるに違いない。映像を使ったコラボレーションによる研究は、動画やオンラインサロンなどインターネットの進化を活用し、新しいつながりを共創する。

 和准教授は、専門である地域福祉は実学であって地域の福祉をデザインするものであるという考えから、「農園フェス」「かわさき色輪っかつなぎ」などの企画・運営、長沢地区の祭りに参加するなどゼミ学生ともども新しい福祉をデザインするためにフィールド活動で成果を出す。この研究がどうデザインされ、形になるか、参画を続け見ていきたい。


田園調布学園大学 和(かのう)研究室
建物の外観から想像できない開放的な研究棟

田園調布学園大学 和(かのう)研究室
学生時代から愛用する自転車のある研究室
  2021-08-01
田園調布学園大学 和(かのう)研究室
代 表:田園調布学園大学人間福祉学部社会福祉学科
    准教授 和(かのう)秀俊
所在地:麻生区東百合丘3-4-1
連絡先:044-966-9211(代表)

取材・文 景山
[一覧表に戻る]